SecHack365 0xFF SXSW Part.2
行ってみようアメリカ
前回の続きです. takuzoo3868.hatenablog.com
目次です。
Day3 3/12
この日,ホテルの換気扇に喉をやられ,咽頭炎が発症.室内の湿度を上げるべくKanahamaさんがライフハックを教えてくれました.感謝です😌🙏
SparkCognition 訪問
SXSWの会場を離れ,午前中は郊外にあるSparkCognition™を訪問しました.社名にある通り人工知能システムを活用した「認知」に力を入れている会社です.説明を聞いてみると様々な業種において業務改善の為にAIを活用したソリューションを提供しているとの事でした.勿論その中にはセキュリティも含まれます.主に説明を受けた製品は以下の通り.
DEEPARMOR®
開発者であるLares氏からお話を伺う事ができました.シグネチャフリーの機械学習によるマルウェア検索エンジンであり,従来のセキュリティ製品より検知率が高いのがポイント*1.事前に数十万の悪性良性ファイルで学習を行ったシステムを活用して,新しいファイルを受信した時,善悪を判断するという仕組み.採用している認識アルゴリズムがかなり気になりますが,勿論社外秘😞説明を聞きながらSecHack365で作ってみたかった一番最初のアイディアに近いものを感じました.この製品で大切なのは,社員が継続的に新しい脅威を取得し,適応学習させるために訓練データを更新する事.Ransomwareが流行った時も,検体を入手して訓練データの更新を行ったそうです.SPARKPREDICT®
センサデータから学習し,発生する前に差し迫った障害を特定し,認知するプロダクト.既にアメリカ国内の発電施設ではかなり導入されており,風力発電のタービン監視,ガスタービンの障害予測・警告,航空宇宙業界ではエラーコード分類や仕事の割当など,様々な仕事をこなし経費削減に役立っている模様.SPARKSECURE®
IBM Watosonのデータ処理能力を活用した,データ駆動型の分析プラットフォームらしい.傾向,脅威,異常を予測し警告するのだとか.どの程度の応答速度なのか気になりました.しかし,このプロダクトは既にサイトから消えている!?DARWIN®
データサイエンス向けに自動で学習モデルを構築してくれるツール.データ整形からパラメータ調整まで自動でやってくれるらしい.凄い...と思うけど,モデルがブラックボックスになると色々不味い気がします,その辺が説明を聞いている限りではちょっとわかりませんでした.DEEPNLP®
企業の中で埋もれている電子データを深層学習を活用して,自然言語処理を通じ構造化し機械が読み込める形式へ変換してくれるツール.
Augmenting Our World with AI 3.0
また,今後産業界に対してSparkCognition™はどのようなプロダクトを展開したいか等の説明もありました.社内にある産業機械のマニュアルなどを統合管理し,対話型ソフトウェアで故障などに素早く対応できるAIの開発を目指すそうです.実現性は兎も角,好きなアイディアでした.更に,日本進出も考えているそう*2ですが,小規模な町工場などでも導入できる様な体制がないと日本では広まらないかもしれないと感じました🤔
僕ら学生に向けては,AIを学ぼうと考えているなら熱意をもって取り組む事.他者との違いを大切にして何かしらの専門分野を確保しておく事とのお言葉を頂きました.うん,頑張ろう.
その後,再び会場へ戻り自分はセッションを聞いたり,TradeShowを覗いたりしました.そして夜はハッカソンの会議.この辺の詳細はtake氏のレポートが詳しいと思います.
Day4 3/13
SXSW Hackathon
午前中はホテルでずっとアイディアを模索.何か良いプロダクトにできないかなぁとメンバーで議論.結局,音楽関連で何か作りましょうという事で会場へ.24時間耐久ハッカソンのスタートです.
Female Beatbox 2015 世界ChampionのKaila Mulladyと,North American Beatbox 2016 ChampionのMark MartinによるSweet Dreams cover.HBB*3からスタート.豪華すぎる...
ハッカソン中,食事の提供は勿論のこと,胃薬や頭痛薬に歯ブラシ,深夜にはマッサージ師なんかも居ました.流石ですね.自分はアイディアを基に審査員が見るドキュメント周りを整理して,発表用のスライドを作っていました.そのまま次の日へ...
Day5 3/14
SXSW Hackathon
さっきのはなし。
— 竹 (@takemioIO) 2018年3月14日
さわだ「もぉぉぉ〜〜だめだよぉ〜〜ハッカソンで英語の発表できないよぉ〜〜かなさぁ〜ん(codeblueの人)」
りねあ「さわださんバブみを出してきてる」
あ〜〜JSTへタイムジャンプしたいよ〜〜〜
— さわだΔ@技術書展4[く-29] (@takuzoo3868) 2018年3月14日
4時頃には精神が少し狂い始めます.こんな感じでチームメンバーに晒されます.悪い人達だ!そのまま昼過ぎまで開発は続きます.途中Travis氏へのピッチが行われますが,厳しい指摘もあってお通夜ムードだったのは覚えています.この辺から自分の中で,take氏もたき氏もこの旅程で一切壇上で英語喋ってないじゃんと...なり個人的に非常にモヤモヤしたのは覚えています.まぁ終わった今としては別にいいのですが🙄Kanaさんに発表の英語を手直ししてもらい,午後2時くらいには審査員の目の前で3分間のプレゼン.上手く英語を喋れない事,これが非常に悔しかった.より上手く伝える方法があったんじゃないかって終了後はずっと考えています.今も....一方でアメリカのエンジニア(?)の人たちのプレゼンは皆ユーモアがあって,同じようなプロダクトでも見せ方が上手だなと感じました.
そして結果発表なのですが...
#SXSW #Hackathon: Congrats to emShare- "express emotions beyond description", the #Cloudinary #API Challenge winners.
— Cloudinary (@cloudinary) 2018年3月14日
Details: https://t.co/yRAnhAtBVR
Repo: https://t.co/PPZ19Kvw2N
Backend: https://t.co/yiYlcpaPHE pic.twitter.com/NJBzIEl6kU
Cloudinaryさんからそのアイディアいいね!という事で企業賞を勝ち取ることが出来ました.頑張って良かったと思った瞬間です,ちょっと泣きました😭 😭 😭
この日の夜はハッカソンのお祝いという事でちょっと高めのメキシコ料理のお店へ連れて行って貰いました.テキサス州はメキシコと隣接している事もあり,相互の食文化が混ざり合ったテクス・メクス料理が味わえる土地でもあります.サボテンのサラダは粘り気があって面白い食感でした.ワカモーレはかなり辛めだけど美味しかったです.ご馳走様でした🙏
Travis氏にお勧めされたPreservation Hall Jazz Bandの生演奏を聴けたり,俳優のAlec Raymeを紹介してもらったり,6th Streetを見て回ったり存分にSXSWを楽しんだ一日でした.
Day6 3/15
知見が増えた pic.twitter.com/gm6lazf2I1
— さわだΔ@技術書展4[く-29] (@takuzoo3868) 2018年3月15日
game expo pic.twitter.com/e3DLzxqCsI
— さわだΔ@技術書展4[く-29] (@takuzoo3868) 2018年3月15日
SXSW視察最終日です.自分はVR関連の展示やセッションを見て,この日から始まったGame Expoをぐるぐる見て回りました.ネットゲームの類はあまりやらないので,スマホや据置ゲームのブースを覗いて面白そうなゲームを見つけては開発者にコンタクトしてみました.個人的に気になったのは以下のタイトル.
開発者に話を聞いたら,グラフィックデザインを細部に拘る前に一時保存していた所,牧歌的なテーマに沿った世界観を表現できたとの事.そしてやっぱりUnityは3Dグラフィックの勉強にいいよとおススメしてくれました.リリースでは日本語にも対応してるけど翻訳に難があるのでもし良かったらレビューしてねと言われました.時間とれたらやってみよう...😵
The Austion technology Incubator 訪問
午後はThe Austion technology Incubatorを訪問.既に70年以上の歴史があるインキュベータですが,スタートアップを何でも受け入れる訳では無いそうです.受け入れたからには必ず成功に導くという強い志があると社長が語っていたので,ちょっと調べてみたら入居できるのは申込に対して2割程度.インキュベータに受け入れてもらうこと自体がスタートアップにとっては一つのブランドイメージとなるらしい.金銭面や事業面で厳しいと感じやすい創業から2,3年を補助する事を目的としています.また,優秀な人材を地域に留めるべくインキュベータ側が条件としているのが,会社はオースティンに置くことでした.シリコンヒルズとして地域の歯車が良く回っているなぁと感じました.
どうやって採用を見極めるのか,りねあ氏が聞いてましたが「勘」だそうです.多分,インキュベータの施策と合致している事と,事業の具体性をしっかり説明できる事が大事なんだと思います.日曜の訪問だったのでセンター内は静かでした.入居している企業も全て休み(当たり前ですね,でも日本の感覚とやっぱり違うなと思ったり).
オースティン最後の晩餐も勿論BBQ.精神的な負担がない分,がっつり味わって食べる事が出来ました.スモーク感がやっぱり独特.ターキーはサイズが大きいため日本の家庭では浸透しにくいのかな?美味しいのに...当然僕はビールで優勝した🍻
Day7 3/16,17 CDT --> JST
えっ!?!? pic.twitter.com/dcIWDco7l6
— さわだΔ@技術書展4[く-29] (@takuzoo3868) 2018年3月16日
移動日です.ダラスの空港内免税店でお土産を買い,機内はぐっすり寝ていました.写真はダラスの滑走路から立ち上る黒煙.一時騒然としましたが,何事もなくて良かったです.気づいたら成田に着いてるし,日付は17日になってるし,知らないニュースで溢れてるしウラシマ気分で帰国です.当然自宅に直接帰る手段がないため,実家へ一度帰省してから戻りました🙏
おわりに
振り返ってみると非常に充実したSXSWでした.そして...色んな人に助けてもらった7日間でした.トレーナーの皆さま,コーディネーターのKanaさん,私の我儘できついスケジュールを合わせてくれた佐藤さんへ...心から感謝します!また海外へ行きたいぞ!自分なりに今回のSecHack365 海外派遣で得た諸々の気づきを纏めて締めたいと思います.
事前の下調べが最重要.
英語は拙くても何とかなる*4.
SXSWはチャレンジする人々を応援する空気が漂ってる.が,未成年者が夜に外を出歩くことは日本以上に厳しい.
日本の治安は本当に良い*5.
日本でよくある陰湿な批判は少ない.ちゃんとしたアドバイスを皆くれる.
固定的な職に囚われず,路上アーティト兼プログラマなど幅広くアンテナを張っている人が多かった.
Uber🚙はかなり便利
追記
ハッカソンの事がHackernoonに掲載されていました.emSareの事も取り上げていただき感謝です. hackernoon.com
日程の都合上,聞けなかったセッションもいくつか公開されており帰国後は大体眺めてました.下の動画はVRの母であるde la Peñaのキーノート.ハッカソン中で聞きに行けなかったので,動画公開は有り難いです.この他にも,オライリー氏の逃したセッションを聞きたいとSXSWのライセンス管理部門に問い合わせたら,セッションの録音データを貰えました.感謝です.